先日 Mac OS X Mountain Lion から RaspberryPi(FreeBSD) に ssh 接続しようとすると、RaspberryPi 側から接続がはねられる(Connection colosed by host
)という現象に悩まされました。
鍵交換アルゴリズムが hmac-sha1
だとダメで、hmac-md5-xx
だと OK のようだ、という情報を得たので、
% ssh -m hmac-md5 host-ip-address Connection closed by host-ip-address % ssh -m hmac-md5-96 host-ip-address Connection closed by host-ip-address
( 認証は公開鍵暗号方式で、ホストには公開鍵を登録済 )
とやっぱりダメです。 ターミナルで確認すると、デフォルトで Mountain Lion に入っている OpenSSH のバージョンがそもそも結構古いです。
% which ssh /usr/bin/ssh % ssh -V OpenSSH_5.9p1, OpenSSL 0.9.8x 10 May 2012
ちなみにこの記事時点での最新は以下の通りで、FreeBSD 側はこれです。
raspberry-pi% ssh -V OpenSSH_6.2p2, OpenSSL 1.0.1e-freebsd 11 Feb 2013
そこで、試しに Mac OS X の OpenSSH をソースコードからビルドインストールしてみることにしました。
尚、Mac OS X Mountain Lion でこの作業を行うには、Xcode 及び、Command Line Tools ( Xcode の Preferences からインストール) が必要となります。
現在は Command Line Tools はどうもターミナルから以下のコマンドを入力しないとインストールできないようです。
% xcode-select --install
1:OpenSSH のソースコードを取得する
まず、OpenSSH のミラーサイトからソースコードを取得します。
Portable OpenSSH のページの下の方にダウンロード用のミラーサイト一覧があるので適当なものを選択してダウンロードします。
今回は現時点の最新である openssh-6.2p2
をダウンロードしようとしたら、
最初に開いたミラーサイトにはなぜか存在しませんでした。こんなこともあるんですね。
次に開いたミラーサイトには存在したので、そちらからダウンロードしました。
ダウンロードした openssh-6.2p2.tar.gz
をダブルクリックで解凍します。
本当はファイルの正真性を確認すべきなのでしょうが、ここでは省略します。
興味が有る方は入門OpenSSH 2.3.2. ダウンロードしたパッケージの正真性を確認する を参考にするとよいでしょう。
2:OpenSSL のソースコードを取得する
合わせて OpenSSL も更新するため、こちらも OpenSSL のソースコードダウンロードページから現時点での最新版 openssl-1.0.1e
をダウンロードします。 最新版は[LATEST]と表示されています
ダウンロードした openssl-1.0.1e.tar.gz
をダブルクリックで解凍します。
3:OpenSSL をコンパイル、インストールする
OpenSSH は ssl に依存していますので、
最初に OpenSSL を ビルド・インストールします。
ターミナルを立ち上げて、
% cd Downloads/openssl-1.0.1e
64bit 版 Mac の場合は、./Configure darwin64-x86_64-cc
を使用して構成します。
32bit 版 Mac の場合は、通常通り ./config
を使用します。
他の ssl とかぶらないインストール場所を --openssldir
でオプション指定します。今回は /usr/local/openssl
を指定しています。また、共有ライブラリオプション shared
をつけています。
% ./Configure darwin64-x86_64-cc --openssldir=/usr/local/openssl shared % make % sudo make install
4:OpenSSH をコンパイル、インストールする
無事に終了したら、いよいよ本命の OpenSSH の ビルド・インストール です。
% cd ../openssh-6.2p2
今回は、/usr/local
以下にインストール、PAM サポート有効、MD5 形式パスワードサポート、
zlib のバージョンチェックなし、ssl は先ほどインストールした OpenSSL を使用、で build することにするため、
以下のオプションを付けて configure
スクリプトを実行します。
インストール先はデフォルトで /usr/local
になっているため、今回は特に指定しませんが、/usr/local
以外にインストールしたい場合は、別途 --prefix
オプション等で指定します。
OpenSSL を今回のように新規でインストールしない場合でも、システム上に複数の ssl が存在していると Your OpenSSL headers do not match your library.
のようなエラーを吐いて終了してしまうので、その場合は --with-ssl-dir
で ssl のディレクトリを指定する必要があります。
% ./configure --with-pam --with-md5-passwords --without-zlib-version-check --with-ssl-dir=/usr/local/openssl % make % sudo make install % rehash
5: 環境変数 PATH
の修正をする
インストールが完了したら、今後 ssh クライアントを使用する際は、
/usr/local/bin
のものを優先的に使用したいため、環境変数の設定をする必要があります。
要は PATH
の先頭に、/usr/local/bin
が入っていればいいわけなので、
% printenv
で表示される PATH
の値を確認して、問題なければ修正をする必要はありません。
わたしの環境では以下の状態でした。
PATH=/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin:/usr/local/bin
Mountain Lion 以前では環境変数の修正をする場合は ~/.MacOSX/environment.plist
に設定すれば良かったらしいのですが、Mountain Lion からはこのファイルが使えなくなった(!)そうなので、
今回は代わりに、
/etc/paths
を修正します。
尚、OpenSSL も今回インストールするバージョンに切り替えるのであれば ( いろんな意味でそのほうが良いでしょう )、
/usr/local/openssl/bin
も合わせて追加する必要があります。
現在の内容を確認すると
% more /etc/paths /usr/bin /bin /usr/sbin /sbin /usr/local/bin
これを、
% sudo vi /etc/paths
で以下のように修正し、保存して終了します。
/usr/local/openssl/bin /usr/local/bin /usr/bin /bin /usr/sbin /sbin
一旦再起動します。
再びコンソールから環境変数の確認をします。
% printenv PATH=/usr/local/openssl/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin
これで PATH
が修正されました。
6:インストール後のバージョンを確認する
ここで、正しくインストールが実行されたか、ssh のバージョンを確認します。
% which ssh /usr/local/bin/ssh % ssh -V OpenSSH_6.2p2, OpenSSL 1.0.1e 11 Feb 2013 % which openssl /usr/local/openssl/bin/openssl % openssl version OpenSSL 1.0.1e 11 Feb 2013
上記のように表示されれば、無事 update に成功となります。
sshd を起動済みの場合は、システム環境設定のインターネットとワイヤレスの共有から、リモートログインのオンオフをすれば sshd が再起動します。
ちなみに、この update で、無事に Mac OS X Mountain Lion からも、 RaspberryPi(FreeBSD) に ssh 接続できるようになりました。
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